記録と日常

学びと活動とつぶやきと。

【映】ドライブマイカー

ようやく地元の映画館で上映されることになり、駆け込みで鑑賞できた。

 

 
 
 
 
 
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A post shared by Makiba Okamoto (@silk_1114)

 

映画館でじっくり見られてよかった。原作はぎゅっとエッセンスを凝縮した作品で、正直、これをどう3時間の映画になるのかと信じがたい思いで見始めたが、どの登場人物にも背景があって『ドライブマイカー』という1つの舞台に流れこんでドラマになる・・・ぐっと引き込まれ、あっという間の3時間だった。

(2021/12/24鑑賞)

【読】あのこは貴族/山内マリコ

映画『あのこは貴族』の原作。

 

 

映画を見終えたとき、設定が階級差、都会と田舎の差や男女の三角関係問題と生々しいテーマを内包してるわりに、感情が爆発するようなシーンが全然なくて、静かな映画だったなぁと物足りなさを感じていた。

 

映画の中では、登場人物は心情までは多くは語らないのだけど、原作を読むと、登場人物のバックグラウンドや心情まで書き込まれていて納得感が得られた。映画を見た方は、是非原作も読んだら、もっと理解が深まっていいと思う。というか、原作を読んでから、映画を見ても良いだろう。

 

(2021.11.24読了)

【映】あのこは貴族(2021/12/5)

(2021/12/5)

 

 

 

東京渋谷・松濤の開業医で末娘として生まれた華子。何不自由なく育ち、将来は良家に嫁ぐ人生を歩むのが当然と思って生きてきたが、すでに20代後半になり、いまだ結婚できていないことに焦りを感じている。かたや、美紀は地方で猛勉強の末、東京の名門大学に合格。入学するため上京するも、家庭の事情で学費が払えなくなり、夜の世界で働いているが退学。東京を引き上げるでもなくそのまま東京生活を続けている。そんな二人が、一人の男性を巡り、偶然に出会い、交錯し互いの人生が拓けていくというストーリー。

 

普通は三角関係の恋愛ドラマになりそうな設定なのに、ドロドロとした諍いが起こらず、ヒロインの二人が、互いの生き方を見て、自分の生き方を模索し納得した人生を勝ち得ていくところが、今までにない。女同士が理解し合い、図らずも助け合っていくシスターフッド映画である。

 

華子が属しているようなお金持ち階級の中で生きている人は、普通の世界にはあんまり出てこない、私立の名門大学とかに行ったり有名企業に行ったりすると、たまに出会いはするが、自分の人生に交わってくることはない。ところが美紀は、高級クラブやラウンジというお金持ちを顧客とするところに身をおいていたので、華子の婚約者となる幸一郎とは10年もの付き合いを続けていた。

 

美紀は幸一郎との腐れ縁を続けて行くこと、水商売からは足を洗ったものの東京生活をだらだら続けることに迷っている。幸一郎との縁をステップアップに繋げようとはしないところが今っぽいなぁと思う。階級違いは上手くいかない、世界が違う、無理はしないということを悟っているようにも見えた。

 

華子は華子で、幸一郎とのこれ以上ない縁談がまとまったにも関わらず、小さな違和感に戸惑い、その戸惑いが何なのか模索する。華子の違和感は、従来なら、なかったこと、気づかなかったフリでやり過ごすし日常に埋没していくところだったのだろうが、そこを見逃せなかったのは、個を尊重する現代ならでは、という感じがする。

(2021.11.23鑑賞@amazon prime

 

映画『あのこは貴族』公式サイト

 

 

【読】残照の頂(湊かなえ)(2021/11/22)

(2021/11/22)

山歩きはしないけれど、山登り番組が何故か大好き。山の景色、絶景よし、登山者の動きを見るのが好き、というわけで、NHKドラマの「山女日記」というドラマはオンデマンド配信で繰り返し見ている。

 

工藤夕貴演じる「立花柚月」の造形が等身大でいい。作家はバブル世代じゃないはずだけど、バブルが弾けたあと会社勤めしていた女性って、何かと常に闘っていたなぁと思わせてくれる人物像になっている。自分含め、この世代は共感する人、多いと思う…山歩きがモチーフになっているが、女性の生き方指南小説だと思う。

 

長い時を経て、続編が出た。

 

 

読後すぐにこんな感想を書いたのだけど、あとから一作目『山女日記』を読み返したら、「立花柚月」という人物は短編の中の主人公として出てるだけで、全編通してというわけではなかったなー

 

女性の山登り小説といえば、北村薫八月の六日間 (角川文庫)

八月の六日間 (角川文庫)

 

似た感じでこれも好きな小説で、ボッーとしたいときに読む。こちらは主人公がいて、彼女を巡る物語となっている。こちらは女性の出版編集者が主人公で、休みを捻出して山登りに出かけるストーリー

【映】No Time to Die 007(2021/11/21)

(2021/11/21)

ただただ美形のシャラメが見たいのに、日本ではいまいちヒットしてないからすぐ終わっちゃうかも!とささやかれていた『デューン/砂の惑星』、007より先に終わっちゃうかもと、前売り買ってた『No Time to Die』に優先して見に行ってしまいました。そして予想外にはまってしまい、ジェームス・ボンドの気分になるまでだいぶ時間かかりました。そしてようやく見に行ってきました。

 

(2021/11/20現在のところ、デューンも007も地元映画館では1日1回上映^^;)

 


www.youtube.com

 

クレイグ版ジェームス・ボンド、劇場鑑賞完走しました。もう、それだけで満足です。大河ドラマ「ジェームズボンド物語」完結しました。うまくきれいにまとまってめでたしめでたし、そういう感じかなぁ。コロナ禍がなくて、予定通り公開されてたら、めっちゃ楽しみにしてたし気持ち盛り上がってたかもしれないなぁと思います。延期につぐ延期で、ようやくかぁ…というところに、個人的には「デューン」が割り込んできて、期待がだいぶそがれてしまった。

 

さて、クレイグ版では「スカイフォール」が一番印象に残ったのだけど(一番ストーリーがわかりやすかった?)、今回、パンフレットのなかに歴代作品の振り返りページがあったので、またアマプラかDVDで見返してみようと思うのだけど、時間かかるわ~今年中にクレイグ版を自分の中で総括したいと思います(笑)

 

そして、クレイグがおりても、主要キャストそのままに、次回作が作られることを期待、と長年の007ファンは思うわけです。「ノーミ」とか「パロマ」とか、これで終わりはもったいない・・・プロデューサーのバーバラ・ブロッコリがいうように、クレイグに再登板してもらいたい…とはあんまり思わないけど。

 

ITパスポート試験…

専門学校に通う子どもが、ITパスポート試験を受験してきました。

 

www3.jitec.ipa.go.jp

 

結果は残念無念の不合格だったらしいけど。目安として100〜130時間くらい勉強すれば合格するそう。勉強することはそれだけじゃないので、この資格試験については全然勉強しきれてなかったとの談。仕方がない。来年には「情報セキュリティ試験」というのを受験しなきゃならないのに大丈夫ですか〜という感じですが。

 

子から問題集がお下がりしてきたので(令和2年秋版だけど)パラパラ見てみたけど、これ、ざっと過去問やれば合格しそう?というか、一度おぼろなIT常識を総まとめしたい気持ちになりました。

 

この前受けた美術検定2級は全然できなかったんだよ。ノー勉で挑んだせいもあるけど、検定試験って難しいよね。調べればわかるけど、暗記しておかないと回答しきれない。1時間で85問とか、機械的に解いていかないとならない問題数なんだもん。それ専門じゃないから知らんわー(笑) それに比べたらITパスポート試験の100問120分のほうが方が実生活(仕事)に関連してるからいけそうな気がする。

 

しかも、令和4年4月から受験料が5700円→7500円に爆上がり。受験するなら今のうち。(合格の保証はない、もちろん)

関戸地球大学院「対話型鑑賞の功罪」

2021年11月19日18時~

関戸地球大学院 第2講「対話型鑑賞の功罪」というZoomのウェビナーを視聴した。

当日の資料を公開してくれている講師の森功次先生。森先生の論文はresearchmapでいろいろ公開されているのでリンクをはっておく(備忘)

 

そもそも…ビジネス界隈で、ビジネスエリートは美術作品を買う。美術作品を買うには、美術の教養をある程度学ばなければ買うことはできない。ビジネスのスモールトークとしても美術は適している。そこで得られたアート的思考方法をビジネスに活かしている…というようなことが言われだして久しい。

 

 

日本でブームが始まったのはこの本が出てからだったように思う。

ガチガチのビジネス脳(効率、経済、能力最優先主義)からしたら芸術のもつ感性、感覚、理屈なし、正解なしで考える、決める方法は(そればっかりじゃないんだけどねぇ)目が見開かれる発見があるんだろうなぁ。どちらかというとアートよりの知人がこの本を読んで、私の思ってることは間違いじゃなかったんだ、これからの時代はアート的にやっていいんだ!むしろそうしていかないとダメ(正確にはこんな言い方ではなかったけど)と感想を述べていたのが印象的だった。自分は自分で、一般社会はビジネス一辺倒、人間の在り方だとかは二の次なんだなということを、この知人の感想で思い知ったのだ。今更なんだが、こちらは、金儲けもわかるが、人間の在り方とか生とか美しいことととか、そんなことばっかり考えてたよ!ビジネスってそんなこと考えない世界だったんだ・・・知らなかったというお花畑の住人です。そんなわけだから、いつの間にか急にビジネスがこっちによってきちゃったけど???何?みたいな複雑な気持ちになるのは言うまでもありません。まぁ、私はアーティストじゃないけど。

 

対話型鑑賞は、自分のようにボランティアで、小学生に対して対話型鑑賞をやってる教育プログラムがある。自分なんかはファシリテート技術の未熟さで上手く1枚の絵の世界の深いところには全然連れていけてない。申し訳なく思いつつも、最低限、絵をじっくり見ること、言葉で表現できたことを励まし、子どもたちに良い時間をすごしてもらえていれば第一の目標は達成できていると…と取り組んでいる。

 

しかし、ビジネス界隈で対話型鑑賞の手法をビジネスに活かすというようなプログラムになると2日間で10万だとか15万だとか参加費がかかるって記事を目にしたときには、なんだよ、金儲けかよ、てか、そんな2日ばかり研修してアートがわかるようになるの?と懐疑的な気持ち半分、そんな高いお金払う人の気が知れない、アートって趣味じゃん?というような気持ち半分。要するにやっかみに近いモヤモヤ。

 

それに対して森先生は美術手帖の記事やこの講演で、すっきり一つの問いを提示してくれたと思う。

 

きわめて重要な指摘だった。美術館が、所蔵作品を利用してビジネスパーソン向けに高額なプログラムを提供することの是非をどう考えるか。取れるところからお金を取れっていう話ではあるのだが、ビジネスエリートの養成は美術館という公共施設の仕事なのか。ちなみに私が参加している小学生向けの対話型鑑賞のプログラムも美術館が行っている。

 

p.70~「美術作品の教材化の功罪」

 

講演で強調されていたが、対話型鑑賞はダメとは全然言ってなくて、むしろどんどんやったほうがいいという意見。ただし、先入観なしにじっくり絵を見ることから得られる経験と、背景知識があるからこそわかる作品の意義とか価値を知ることは別個のものだということを知っておく必要があると。美的鑑賞レベル1~2とかの初心者には前者が美術を見る導入として適であろうし、絵を見慣れた人も背景知識に引きずられずにじっくり見てディスカッションして、新たな知見を得るということはある(というか美術史ってそういう学問だよねとは思った)。

 

今回の講演は、「対話型鑑賞」という事象について、モヤモヤする部分について、メリット、デメリット、関わっている対象とその対象に対する影響など細かく噛み砕いて解き明かしてくれるものだった。これが、もしや「分析美学」?と素人な自分はワクワクして面白く拝聴しました。