記録と日常

学びと活動とつぶやきと。

学校美術の課題を点数化するということ~令和5年度中学校生徒美術展

うちの子どもの作品が展示されるということなので地元公民館に行ってきました。子供はいわゆる上手い作品は作れないけど、オリジナルなどちらかというとくすっと笑えるじわる作品を作る子。今回美術担任がめちゃ推しで評価してくれたそうで(本人的には会心の出来ではなく、ビミョー、どこが評価されたのかよくわからないと言っていた)楽しみに見ました

 

地元市立中学校の美術の時間に1~3年生の子どもたちが取り組んだ課題の作品展。いわゆる参考作品にピックアップされたものが一挙展示されていました。

 

中学生が3年間の美術の時間に取り組む課題は、以下。

  • デッサン(主に、身近なもの、自画像)
  • 色彩構成(色相、色彩、レタリングなどデザイン)
  • 彫刻・工芸的作品(模刻、染め、堆朱、消しゴム判子、水墨など)
  • 抽象表現(コラージュ、立体作品)

 

写真は撮り忘れてないのですが、どれも課題のテーマがきちんと定められており、それにのっとって表現された作品ばかり!レベル高い!

デッサンも、本当によく対象を見て書き込まれているし、自画像は内面がよく表れてるんじゃないかなぁと作品を見ていて感動したし面白かったです。

 

うちの子どもの作品は、抽象表現の課題でデッサンとモダンテクニック(現代絵画表現のテクニック)を素材として使ったコラージュ作品。抽象表現なので、画面構成上、どうしてそういう構成にしたのか、解説書を作成するところまでが課題でした。

 

造形表現は、意図を視覚的に人に見せる形で表現するもので、自由にしていいし、どうしてそういう表現になったかなど、言語化する必要はないのですが、子どもの美術の先生は、作品を点数化するにあたっては、その子がどういう意図がその表現にしたのかがわからないと点数にしにくいということで、そういう解説書を添付させていると言ってました。

 

別の話ですが、知人の元美術教師は、デッサン作品などは、点数化がツライといってました。デッサンは、要はよく対象を見て、作家の内面や、対象の本質が画面に表現できているかどうかが重要で、写実的に上手な作品かどうかは関係ないんですね。(美大受験で求められているデッサンでは、技術力も求められているのでまた別の話。)そんなわけで、一見稚拙な作品でも鑑賞者目線でめちゃめちゃ味わい深い作品(好きな作品)にはいい点が付けたくなる。でも万人がそう思うかどうかは微妙だったら、やっぱりいい点はつけられない。逆にめちゃめちゃ技術的にうまくても、うまく見せてるなとか、何考えてこういう表現してるのかが感じられない作品(悪く言うと目に留まらない)はあまり評価高くつけるのは躊躇すると言ってました。そつなく何でもこなせるタイプの優等生だと、なんで最高点がつかないのか、と食い下がられる場合もあって非常に難しいと。

 

そんな中で、参考作品にピックアップされてる作品は、意図が感じられる面白いものばかり。少なくとも作者が真剣に、楽しんで取り組んでる様子がわかります。自画像は、知ってる子なのに全然イメージが違うこともあるし、知らない子でも、こんな子なのかなぁ~と想像できるのです。

 

1年生の作品は、小学校の延長の自由に絵を描くところから一歩進んで視覚的表現の基礎を学び、なんだかぎこちない作品、でも一生懸命が見える。2年生はデザイン要素の作品課題多め、色とか形とかテクニックの学びを経て、3年生は、表現方法と表現したい気持ちが結びつき、作者の人となりが、ぐっと細かい深いところまで表現されている。中学校の美術のカリキュラムはなかなかうまくできているなぁと思います。

 

中学生って、私とあなたの区別がはっきりしてきて、内面世界がぐんと広がる時期なので、美術の授業を通して一人一人が考えて表現に結びつける練習ができるといいよねって思います。部活や受験で忙しいし、美術も教科として点がつくのでしんどいかもしれないけど、自分を表現できるって、自分の外部とコミュニケーション取るには必須で、コミュニケーションスキルに結びつくものだから大事にしてほしいなぁ~