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英語、ちゃんと読めてる?

英文「超」精読――ほんとうの意味がわかる

英文「超」精読――ほんとうの意味がわかる

  • 作者:冨岡 英敬
  • 発売日: 2019/03/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

本屋さんの英語参考書コーナーで、手に取った1冊。
プロローグを読んで、これは、英語を英語のママ読解する訓練をする本だ、こんなの初めて見た!と思い即買いした。

英語の基本はS(主語)とV(動詞、述語)。これがなければ始まらない。
これにC(補語)やO(目的語)が連なるが、こういうものはなくてもOK。その文章が言わんとしてることは、SとVに集約される。Chapter1は、この主語と動詞(述語)をピックアップさせる練習から始まる。しかも、Exercise1は日本語の文章。

「心は、感情や社会性や記憶を思考のようにないろいろな要素的な機能が相互作用してはたらく情報処理システムである。」

日本語で書かれていて、これくらいの一文なら簡単だけど、一文の長い文章だと最後「情報処理システムである」というところにたどり着くまでに「何が」=「心は」が記憶に残っていないことは、よくあるなぁ、と思う。ボリュームのある文章を読んだとき、「主語と述語」をぐっと頭に残しておかないと誤読の恐れがあるのだ。日本語ならまだしも、英語になると関係節などが挟まったりするとどちらが主節かがわからなくなることは多い。英語で一文の長い文章で、なおかつ構造が見抜けないような文章になると、知ってる単語、または辞書で意味を調べて意味の分かる単語をつなぎ合わせて、日本語にしたらどんな意味か類推するしかない。

が、

この参考書は、このような断片を「類推」でつなぎ合わせて読むと誤読する、と警告している。

ちなみにプロローグであげられた例文。

The transfer of slaves from one part of the South to another was one of the most important consequences of the development of the Southwest.

この文章を読んで、「南部のある場所から別の場所に奴隷たちが移動して南西部が発展した」つまり、『奴隷の移動が原因で、南西部の発展はその結果』と意訳するのは誤り。この文章は厳密にはそう書いてはいない。『奴隷の移動』は『南西部が発展したもっとも重要な結果のひとつ』とするのが正解。文法的にさど難しくなく理解可能な文章でさえ、つい、

the transfer of slaves / one of the most important consequences / the development of the Southwest

と3つの塊に解体されて、脳内で理解しやすいように「奴隷の移動のもっとも重要な結果のひとつは南西部の発展」としてしまう。

英日翻訳の勉強をしていたころ、読みやすい日本語にしようとするあまりに、つい意訳的に誤読することがたびたびあったので、この解説を読んで膝を打った。あの頃の間違いはこれだったのか!と腑に落ちた。英文の構造を外れて意訳してはいけないということだったのか…

翻訳というのは、意訳ではなく、直訳で、でも文意を崩さないように日本語として自然な文章で表現するという、かなり高度な技なのだなというとこがこの参考書を読んでいるとよくわかります。
というわけで、まぁぼちぼち英語の勉強もしています。